喉頭癌は、肺癌と組織学的に類似した発生母地を持ち、同様に喫煙習慣との関連が疫学的に認められている。肺癌では、煙草煙内に含まれる発癌物質、芳香族炭化水素 (ベンゾピレンなど) に対する数種の代謝酵素活性と発癌感受性とに関連が報告されており、喉頭癌についても同様の関連を認めるか検詞を行った。関係する多数の代謝酵素のうちP450、GST、mEHに注目し、各々を codeする遺伝子
CYP1A1、 OSTM1、 GSTT1、 EPHX1 (exon3、exon4) の遺伝子多型について検討した。
CYPLA1遺伝子exon 7の多型は.
Ile/Ile型を多く認め、肺癌患者で多いとされる
Val/Val型は健常人で4.5%、喉頭癌患者でも48%と少数であった。
GST遺伝子 (
M1、T1) 多型の分布は両群で違いを認めなかった。喉頭癌患者では、
EPHX1遺伝子のexon3の2対のアレルがTyrから
Hisに置換された酵素活性が最も低い変異型ホモを有意に多く認めたが (χ
2検定篇0.0025) 、exon4の多型は分布に有意な差を認めなかった。
EPHX1遺伝子のexon3に変異が生じ
Hisに置換されるとmEHの酵素活性が低下することが知られており、
EPHX1遺伝子型が喉頭癌の発癌感受性を規定する一因である可能性が示された。
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