宮城県と岩手県の県境にそびえる栗駒山(1,628m)には,ベニヒカゲが生息していると,以前から噂されており,時々,文献にも栗駒山にベニヒカゲが生息しているとの記事が見られることもある。しかし,地元の方々は,何度も調査を行っており,ベニヒカゲの生息は100%有り得ないとの共通の認識にあるようである。筆者も,仙台に転勤で居たおり(1985),栗駒山のベニヒカゲの分布調査を行ったことがあるが,確認することができなかった。当時,仙台の虫屋の方々に,生息の有無を照会したが,文献のミスで,生息していないとの回答であった。ただ,文献とは,どの文献なのか確認しないままで今日に至ってしまった。結論から言えば,栗駒山にベニヒカゲは生息しないと言いきってよい。ベニヒカゲを追い求める蝶屋から,夢を一つ奪うことになるが,なぜ,栗駒山にベニヒカゲが生息すると言われるようになったのか,そして,なぜ,ベニヒカゲが生息しないのかを整理して,無用な混乱を収拾することにしたい。
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