人生の最終段階のがん看護において,最期までその人らしく人生を生き抜くケアを提供することは重要であるが,そのケアは容易ではない.
そこで著者らは,よりよいケアの事例をモデル化し,そのケア全体の実像を分かりやすく構造化する方法として,「実像構築」を開発した.また,患者の希望を実現した事例を,実像構築の分析手法を通して展開した.
実像構築は,事実,外部,根源を記述したうえで,その3つを統合したものを,全体のケアリングモデルの命名として表現するものである.この方法を用いて個々の事例をまとめることで,そのケアリングモデルの特徴を明らかにすることができるとともに,類似のケースにおける活用が容易になる.
また,今後モデルが蓄積されていくと,命名した言葉の類似性に基づきモデルをカテゴリー化したうえで,各モデルの事実,外部,根源の枠を超えた分析が可能になる.その結果として,ケアリングに重要な新たなキーワードを見出すことや,統合した新たなケアリングモデルを創出することが可能になるものと思われる.
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