情報デザイン教育は,情報教育とも関わりを持ち,情報や道具の「使いやすさ」「分かりやすさ」についての理解を深める手段として,今後,注目される領域の一つと考えられる.本研究では,道具(人工物)の「使いやすさ(にくさ)」についての理解を深めることを目的とした情報デザイン教育を,大学での情報教育の一環として実施し,その評価を試みる.授業実践では,日常生活における「使いにくい」道具を,カメラ付き携帯電話で撮影すること,また,撮影内容についてPCを用いたプレゼンテーションを行うことを課題とし,考察を促した.学生の発表内容や事後に実施した質問紙調査等を検討した結果,本授業実践の試みは,情報デザイン教育として「使いにくい」道具に対する意識の向上や,改善案の検討促進等の影響を与え,身近な道具に対する批判的思考を促している可能性が示唆された.また,情報教育としても一定の評価を得ていることが確認された.
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