地球温暖化対策として、わが国は2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを推進することを宣言した。その実現のために注目されているのが、太陽光発電や
風力発電
といった再生可能エネルギーの大幅な導入である。特に、わが国は北海道や東北を中心に風況が良いエリアが多いこともあり、
風力発電
の大量導入が計画されている。一方、世界各地で
風力発電
の運用が始まるにつれ、生物多様性や生態系サービスに与える影響も顕在化してきた。生物多様性に対する影響については、風車に対する飛翔動物の衝突死などの深刻な影響が多数報告されている。生態系サービスに対する影響としては、家畜の放牧、農地・漁場など供給サービスの喪失や利用制限、あるいは重要な景観への視覚的影響など文化的価値の喪失があげられている。脱炭素社会の実現に向けて、
風力発電
の一層の導入を図るためには、顕在化しつつある
風力発電
の問題を速やかに掌握するとともに、有効な対策を適切に施していくことが急務といえる。本稿では、陸上
風力発電と洋上風力発電
が生物多様性および生態系サービスに与える影響を概説した上で、
風力発電
による影響が大きいとされる鳥類に焦点をあて、わが国の環境アセスメントで実施されている影響予測の評価手法およびその課題と、
風力発電
に対する主な影響緩和策について紹介する。
抄録全体を表示