終末期の定義にはさまざまなものがあるが,2008年に日本学術会議の臨床医学委員会終末期医療分科会は進行の速さにより,急性型,亜急性型,慢性型の3つの定義を提唱している.慢性呼吸器疾患は慢性型の終末期となる.「病状が不可逆的かつ進行性で,その時代に可能な最善の治療により病状の好転や進行の阻止が期待できなくなり,近い将来の死が不可避となった状態」と定義され,予後の予測が困難であるため予後の期間は定義に含まれていない.
このような状況で行われる医療介入は,医療チームと患者・家族が互いに情報を共有し,それぞれの判断や選好の理由を説明し,互いに合意にいたるプロセスが重要である.そのためには,リビングウィル(living will)の普及と良好なコミュニケーション能力の向上が望まれる.
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