目的 海苔の養殖が行われている愛知県三河地域で食について学修している大学生と調理従事者を対象に実施した海苔についてのアンケート結果を解析し,地域食材である海苔に対する消費意識と健康意識,海苔の利用価値の向上につながる要素を検討することを目的とした。
方法 愛知県三河地域在住のA短期大学家政系学科の大学生およびB社の調理従事者にGoogleフォームを利用したウェブアンケートを実施した。2006年に農林水産省より実施,報告された「のりの消費動向について」と比較するとともに,所属間および年代別での回答割合をFisherの正確確率検定により検討した。また,海苔の健康効果についての自由記述をテキストマイニング分析することにより全体を要約し,その傾向を把握した。
結果 2006年の農林水産省の結果と比較し,「味」とともに「パリパリとした食感」も海苔のPRポイントになり得ることが示された。また,海苔の嗜好性について,全体では好意的な意見が高い割合を示した。一方,若い世代では海苔への意識が変化していることが示され,A短期大学の大学生では一番身近な海苔を「韓国海苔」と答える割合が高く,韓国文化が身近になるにつれ,国産海苔への意識に変化がみられる結果となった。海苔の健康効果や含有量の多い葉酸については,所属間および年代別において認知度に違いがみられた。
結論 時代の変化による消費者ニーズに応じた海苔の加工や葉酸などの栄養的魅力を情報発信することで,海苔に対する健康意識とともに海苔の価値感を高める必要がある。
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