海外企業を対象とした先行研究では,投資家が意思決定を行う際,国際財務報告基準(IFRS)とローカル基準の総額(純資産や純利益)の差異だけではなく,個々の
会計
基準の差異の影響にも関心が払われることが指摘されてきた。しかし,日本企業を対象にした先行研究では,データ入手の困難性ゆえに個々の
会計
基準の差異の影響が看過されてきた。そこで本研究では,純資産や純利益だけでなく,日本基準とIFRSの個々の
会計
基準の差異が,日本基準の
会計
数値に対して,追加的な価値関連性を有するか否かについても調査する。分析の結果,IFRSと日本基準ベースの純資産の調整額は,日本基準の
会計
数値に対して,追加的な価値関連性を有さないこと,IFRSと日本基準ベースの純利益の調整額は,日本基準の
会計
数値に対して,追加的な負の価値関連性を有すること,また4 つの
会計
基準(
のれん
,収益認識,税効果,および減損)は,追加的な正の価値関連性を有することが明らかにされた。
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