【目的】TPBの枠組みを用い, 中学生における菓子の過食行動に関する心理社会学的要因を検討し, 菓子類の摂取に関する新たな栄養教育の方法を提案する.
【方法】2005年5月下旬から7月末, 東京都内の8つの公立中学校の生徒1, 936人を対象に, 横断的質問紙調査を実施した.質問紙の内容は, 態度, 主観的規範, 行動コントロール感, 行動意図, 行動, 食べ過ぎないための対処法等の項目であった.
【結果】1, 796人から回答を得た (回収率93%) .菓子をよく食べ過ぎる生徒はそうでない生徒に比べ不定愁訴が多かった.TPBに基づく重回帰分析は, 男女ともに態度が行動意図に与える影響が最も大きかった (男子: β=.44, 女子: β=.34) .態度の項目別得点では男女で違いがみられ, 男子の1位は「お金がかかること」, 女子は「太ること」であった.行動コントロール感が高い生徒は, 対処法をよく実施していた.
【考察】心理社会学的要因には性別による違いがいくつかの項目において確認されたことから, 男女の違いを考慮した栄養教育のプログラムの必要性が示唆された.また, 従来の栄養教育は知識伝達型のものが多かったが, 本研究からは, 菓子の過食を防ぐためのスキル教育が提案できた.
抄録全体を表示