アカエゾマツ
にっいてその地域的変異を明らかにすることを目的として12産地(芦別,土別,中頓別,富良野,山部,美瑛,本別,足寄 (I), 足寄 (II), 丸瀬布,置戸,清里)の遺伝子保存林用種子による苗木の生長と開葉時期の調査を行なった。現在までの調査でこれらの性質に大きな産地間変異が認められた。道北の中頓別,中央脊梁山脈を境としてその西側に位置する士別,芦別産の
アカエゾマツは道中央部産や道東産のアカエゾマツ
にくらべて苗木の生長がきわめて良好である。これらの天然林はいずれも蛇紋岩地帯に成立している。苗木の生長は12産地の間で大きな変異が認められるが, 1970年 (4年生)から1974年 (8年生)の生長経過に順位の大きな変動はみられない。開葉時期の早晩は中央脊梁由脈を境にして西側ど東側に2分される傾向が強く,本道藤側薦(芦別,士別,富良野,由部,美瑛)の
アカエゾマツ
は本道東側産(中頓別,足寄 (I), (II), 本別,丸瀬布,置戸,清里)にくらべて開葉時期が早い。開葉時期は床替などの苗木の取扱いによって変動するが,本研究では早晩の順位の年次変動は少なく,産地の違いにより示された開葉の早晩は遺伝的特性と考えられる。
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