火山灰土壌の主成分である低結晶鉱物は高いリン酸吸着能を示すため,火山灰土壌のリン可給性は低いとされているが,その一方で土壌の全リン濃度は高い。森林生態系での火山灰土壌における低結晶鉱物と土壌リン可給性やリン循環との関係は明らかになっていない。本研究では日本に広く分布するコナラ林を対象に,火山灰加入量の違いによる土壌の栄養塩動態の違いとそれが樹木に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。調査地は日本の北緯35°前後のコナラを第一優占種とする森林で,火山灰の加入量の大小で各4調査地ずつ選定した。2019年8~9月に各調査地で土壌を0~5,5~15,15~30 cmの3層から採取し,コナラの林冠から生葉を採集した。火山灰加入量の指標となる土壌中の活性Al・Fe,リン画分,交換態陽イオン濃度,生葉中の炭素,窒素,リン濃度を測定し,最大樹高を推定した。活性Al・Fe濃度と土壌中の栄養塩濃度はいずれも火山灰土壌で有意に高くなった。また,活性Al・Fe濃度と遅効性無機態リンの間と,速効性および遅効性無機態リンと生葉リン濃度の間には有意な正の相関が見られた。最大樹高は火山灰土壌で高い傾向が見られた。火山灰加入は直接的,間接的に土壌中のリンプールを増大させ,遅効性無機態リンから速効性無機態リンへの溶解・脱離,易分解性有機態リンの無機化による移動量を大きくし,高い速効性無機態リン濃度を保つことで植物へのリン可給性を増大させる施肥効果があると考えられた。
高知県本山町白髪山のヒノキが優占する天然林において,樹種構成と立地の関係を調べ,温帯性針葉樹が定着するマイクロサイトを明らかにした。緩傾斜地に設置した9つの調査コドラートで,樹高1.5 m以上の全ての樹木の胸高直径および樹高1.5 m未満のすべての針葉樹の樹高を測定し,針葉樹が定着している基質(根株,倒木,岩,マウンド,地表)を記録した。調査地をDCAにより序列化したところ,ヒノキとツガが優占する群とケヤキ,トチノキ,カツラなどの落葉広葉樹が混生する群に大きく分かれ,前者は岩塊地に,後者は土壌が厚い場所に出現する傾向が見られた。ヒノキ稚樹(樹高 < 1.5 m)は倒木や古い根株に偏って分布していたが,それより大きい個体は根株にのみ集中して生えていた。ヒノキの成木は30%が地面より高い位置で定着しており,そのうち半分がタコ足状になっていた。ツガの稚樹は岩や根株の上に定着し,成木はヒノキと同様に古い根株に生えていた。ゴヨウマツは本数が少ないが,成木も稚樹も古い根株に偏って定着していた。モミは地表に偏って稚樹が生えていたが,中間サイズの木がなく更新が制限されていた。岩塊が露出した場所やスズタケが密生している場所では,古い根株や倒木の上がヒノキ,ツガ,ゴヨウマツの定着マイクロサイトとして機能していると考えられる。
高吸水性高分子樹脂を添加した土壌の物理・化学・生物特性
公開日: 2020/07/14 | 62 巻 1 号 p. 51-59
高橋 正通, 柴崎 一樹, 仲摩 栄一郎, 石塚 森吉, 太田 誠一
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公開日: 2017/04/03 | 48 巻 1 号 p. 57-62
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戸田 堅一郎
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