2009~2019年に鳥取大学が参加した会場形式進学相談会において相談者で個人情報を得られたものの鳥取大学への志願状況を調査した。会場形式進学相談会で鳥取大学のブースで相談した高校生等の32.5%が次年度以降の入試で鳥取大学を志願した。また,翌年に受験可能な3年生以上に限定して次年度入試の志願率は33.5%と大きな差はなかったが,これらの結果から,会場形式進学相談会で入試広報活動として一定の効果があったと考えられる。2010~2020年度入試の志願者のうち,会場形式進学相談会での相談者の割合は,2.9%であった。また,早期に実施される入試区分の志願率が高かった。
2009~2017年に鳥取大学が参加した高校内ガイダンスにおいて個人情報を得た高校生の鳥取大学への志願状況を調査した。高校内ガイダンスで鳥取大学の説明を聴講した高校生の25.5%が,次年度以降の入試で鳥取大学を志願した。また,3年生に限定して次年度入試の志願率を調査すると28.9%だった。これらの結果から,高校内ガイダンスは,入試広報活動として一定の効果があったと考えられる。2010~2018年度入試の志願者のうち,高校内ガイダンスでの参加者の割合は,2.7%で,入試区分別による志願率に大きな差はみられなかった。
オープンキャンパスの入試広報としての有用性を検証するため,2010~2014年に鳥取大学で実施したオープンキャンパス参加者の鳥取大学への入試動向(志願,受験,合格,入学)を調査した。オープンキャンパス参加者の翌年度入試の志願率と受験率は20%台後半,合格率と入学率は10%程度で,参加の翌年度の入試だけでなく,数年後の入試にも一定数の志願者が存在したことから,オープンキャンパスが入試広報として有用であると考えられた。また,合格者に対するオープンキャンパス参加者の割合を入試方式で調べると,実施時期の早い入試方式では参加率が高かった。さらに,オープンキャンパス参加者の合格率を入試方式で調べると,後期日程が他の入試方式と比較して低かった。
大学入試広報は, どのように評価されるべきであろうか。筆者らは, 大学入試広報の果たす役割の重要性を鑑み, その効果を, 明確な基準をもとに可視化したいと考えた。本稿は, 受験期における高校生と大学との接触方法が, その後の出願, 受験, 合格, 入学等の受験行動に, どのようかにつながっているのかを分析することで, 大学入試広報の効果測定に関して, 一つのモデルを提示するものである。
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