アシドーシスが興奮細胞に多くの変化をひきおこすことは以前から知られている。神経, その他の組織では膜の透過性や膜のイオンコンダクタンスの変化, またその不活性化過程の遅延などを起こすといわれているし、またとくに心血管系に対してはアシドーシスは心筋収縮力を低下させ、逆にアルカローシスでは増加させることが報告されている。一方, 心拍数の変化についても
アシドーシスとアルカローシス
では前者が心拍数減少, 後者が増加を起こすといわれている。その他にも興奮伝導の障害, 末梢血管拡張, カテコールアミンの反応性低下等をおこすので, 心機能を抑制し不整脈を発生させる。逆にアルカローシスは低K心電図, 末梢血管収縮, 不整脈をおこし, 骨格筋の痙攣などをおこすといわれている。
我々はイヌとウサギの洞房結節細胞に対して細胞外液pHを変化させて, その機能的な変化, 電気生理学的な変化を洞房結節の化学受容体としての可能性を含めて考察してみたので, その概略を示すことにした。
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