植物が持つ天然の生理活性物質が,他の生物に,阻害的,促進的,あるいは何らかの影響を及ぼす作用をアレロパシー(他感作用)といい,作用する物質を
アレロケミカル
(他感物質)という(藤井2000).このような物質のほとんどは,植物の二次代謝物質として知られる成分であり,生命維持に必要不可欠な成分ではない(Swain1977).アレロパシーは,自然界では,植生の遷移や外来植物の蔓延要因のひとつであり,農業上では,連作障害(忌地現象)の要因として知られるが,この作用や作用物質を病害虫雑草防除へ利用し,自然と共生した農業に利用する試みも考えられている.
アレロケミカル
の探索は古くから行われているが,その多くは発芽・生育試験に基づく生理活性物質の単離・同定であり,作用経路と関連付ケた生物検定法を基にした探索は少なかった.また,そこで,アレロパシーの作用経路毎の生物検定法を開発し,アレロパシーの強い植物を探索し,それらに含まれる
アレロケミカル
を探索しようとした.また,同定した物質の作用機構について,DNAマイクロアレイによる遺伝子発現への影響を調べる方法について検討を開始したので,その概略を紹介する.
抄録全体を表示