臨床医学における教育と研究の要諦は, 患者の供覧と症例の収集にある.そのために医学部の学生の数に応じたベッド数の確保の規定があるが, 人的, 物的な制約から急なベッド数の増大は望みがたい現況では, 現在のベッド数で, いかに効率よく運営するかが重要と思われる.卒前卒後の若い医学徒は, より多くの興味ある患者に出会って, その悩める所を訊ね, 患者の悩みを我が悩みとして勉強することが教育と研究の出発点と思われる.しかし各科巡回の
インターン制度
も無くなった今日, 現在どんな患者が入院していて, また, 外来を訪れているのか, 他科については知りうる資料や機会は乏しい.もし貴重な症例が来院したならば, 一人でも多く, 一目でも多くの人がそれを見ることができるようにするシステムに関する考按がこの論文の主題である.
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