弊社の抄紙機汚れ防止技術は,欠点・断紙対策として国内板紙工場の99%(2020年9月現在,生産量換算)で採用されており,取り分けドライパートでは,薬品散布装置ミストランナーⓇ・シャワーランナーⓇを用いてドライヤー・カンバス・カレンダーに汚れ防止薬品を散布して紙粉や汚れを防止するDSP技術(=Dryer Section Passivation)が標準的になっている。納入実績も日本国内だけでなくアジア・オセアニアなどの11の国と地域まで広がり,2020年9月現在,750台を超えるアプリケーションが稼働している。
近年,日本国内の板紙抄紙機においては低グレード古紙やスラッジ・テールの再利用によってドライパート汚れが増加する一方で,ユーザーからの品質要求は益々厳しくなっている。このため『ドライパート汚れによる欠点を如何にして防ぐのか?』が生産性向上のための課題の一つとなっている。
ドライヤーフード内は高温・多湿でありドライヤーやカンバスの汚れを常時監視することは不可能である。特に上段カンバスは操業中に汚れ状態を目視で確認することができないため,その汚れが欠点・断紙の原因であっても発見と対応が遅れ,マシンを緊急停止して清掃する場合も多いと聞く。
弊社では,カンバス汚れ防止技術と洗浄技術を融合した『FabriKeeperⓇ(ファブリキーパー)』を開発し,さらにはカンバス汚れを常時モニタリングし定量化する『SmartDepo.Ⓡ(スマートデポ)』を開発し,これらを組み合わせた革新的な欠点・断紙防止ソリューションを抄紙機に導入した。本稿では,その開発コンセプトと実機での導入事例について報告する。
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