テレビジョンのCRT(cathode ray tube)前面ガラス中に含まれている
238U,
232Thおよび
40Kの濃度を, γ線スペクトロメトリにより測定した.
238Uおよび
232Thについては中性子放射化分析法によっても定量した. これら2つの異なった方法によって定量された濃度は, 測定誤差の範囲内で一致した. この結果から, 本研究で使用した試料についてはウランおよびトリウム系列で放射平衡が成立していることが示され, ガラス中の
238Uおよび
232Thの濃度の測定は, 放射化分析と同様にγ線スペクトロメトリでも可能であることがわかった. また, 定量された
238U(重量濃度6.5-13.5ppm)および
232Th(8.4-15.1ppm)は, 3種類のCRTガラスによってかなり異なっているが,
40Kについては(平均7.45±0.05ppm)いずれのガラスに対しても濃度差はほとんどなかった. さらに, CRT前面における放射線量率を算定した結果,
238Uおよび
232Thの濃度が最も高いガラスの場合でもCRT表面から30cm以上離れれば, その線量率(5.65×10
-3μSv / h)は自然放射線量率(7×10
-2μSv / h)の1 / 10以下となり, 無視できるものと考えられる.
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