水蒸気共存下のNH
3に対するすぐれた吸着剤として,また酸化窒素(NO)のNH
3による低温還元に対する活性触媒として有効であるCu(II)イオン交換Y型ゼオライト(SK40-Cu)について,NH
3の吸着点を明らかにし,さらにすぐれたイオン交換ゼナライトの探索の資とするために,本研究ではNH
3の平衡吸着後の試料の昇温脱着法と,種々の試料のIRスペクトルにより,NH
3吸着点の検討を行なった。実験は常圧流通式熱テンビンを用い,試料500mg(平均粒径1.Omm)に対し,吸着では0.1,1%NH
3-0,12%H
20-N,の500Ncm
3/min,90~300℃(主として90℃)で,つづいての昇温脱着では純N
2の500Ncm
3/min,90~500℃(2.5℃/min)で,それぞれ行ない,吸着・脱着の重量変化の測定と併わせて,NH
3量およびH
20量を定量した。その結果,つぎのような知見・結論を得た。
1SK40-Cu上のNH
3の吸着点としては,(1)物理吸着点,(2)NH
3を吸着して錯体Cu(NH
3)
42+を生成するCu
2+点,および,(3)NH
3を吸着してNH
4+となる,Cu
2+交換時に生成するOH
+点の3種が存在し,H
2O共存下では(1)の役割は,きわめて小さく(2),(3)の化学的吸着が重要な吸着点となる。
2錯体Cu(NH
3)
42+生成による吸着はNH
3濃度の影響を大きくうけ,NH
3の低濃度域では,OH
+点への吸着が優勢となる。
3OH
+点へのNH
3吸着は,200℃以上の高温域でも非常にすぐれ,H
20共存下でもNH
3に対する選択的吸着能を増大させる。このことは,他方,この温度域で容易に起こるNOのNH
3による還元反応とOH
+点とが密接な関連にあることを示唆する。
4OH
+点には,Cu(OH)
+とAl(OH)
+の2種が認められるが,それぞれのOH
+点へのNH
3の吸着量はCu
2+交換法によって異なる。
なお,SK40-Cuと同様に,Cu(II)イナソ交換A型ゼオライト(ML5P-Cu)についても検討を加えたが,OH
+点への吸着しか認められなかった。
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