組織培養によるウドの増殖技術を確立するために, 葉片および未成熟種子を培養し, 不定胚形成能の高いカルス誘導法について検討した.葉片培養では, 品種'愛知坊主'の不定胚は1.0mg・liter
-1 2, 4-Dと68.435 g・liter
-1 (0.2M)ショ糖を添加したMS (NH
4NO
3の濃度を1/4に調整)培地で誘導されたカルスから100%形成された.しかし, '伊勢白''紫芽の白'の両品種の不定胚形成は, 用いたいずれの培地から誘導されたカルスにおいても65%以下であった.一方未成熟種子の培養では, 約3mmの大きさの未成熟種子を用いると, 品種'伊勢白'の不定胚は0.5または1.0mg・liter
-1の2, 4-Dを添加したMS培地(30 g・liter
-1ショ糖添加)で誘導されたカルスから100%形成された.また品種'紫芽の白'の不定胚は1.0 mg・liter
-1の2, 4-Dを添加したMS培地(30 g・liter
-1ショ糖添加)で誘導されたカルスから88.9%形成された.これらのことから, 品種'愛知坊主'は2, 4-Dを添加した高濃度のショ糖と低濃度の窒素を組合わせたMS改変培地で葉片を培養することにより, '伊勢白'と'紫芽の白'の両品種は2, 4-Dを添加したMS培地で未成熟種子を培養することにより不定胚形成能の高いカルスを誘導できることが明らかとなった.各品種から誘導された不定胚は植物個体まで生長した.
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