砂質性海浜に上陸・産卵するアカウミは絶滅危惧種であるために，海岸保全事業に関する代表的な指標動物となっている．しかしながら，台風の上陸時期と一部重なるアカウミの上陸・産卵の回数は毎年一定ではなく変動するので，その変動が海岸保全に起因するものか，海洋環境の変動に起因するものかの判断は難しい．本研究では，ウミの産卵が特に多い鹿児島県と宮崎県のデータ及び古くからの記録が残る徳島県の蒲生田海岸および日和佐海岸で記録された年毎の上陸数に基づいて上陸数指標（年毎の上陸数÷海域毎の既往最大上陸数×100）を計算し，異なる海岸での上陸数の比較を行う．また，日単位から数十年単位の異なる時間間隔での上陸数の変動特性を，海水温，黒潮の位置，年毎の台風上陸数との相関解析に基づいて検討する．

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　本研究は, 屋久島で最もウミの上陸数の多い永田地区いなか浜を対象に, 今まで明らかにされていないウミの産卵活動と海浜環境の相関を検討した．研究方法として赤外線カメラによるウミの産卵活動観測，DGPS を使用した海浜縦断地形変化観測とアメダス気象データ解析を行った．
　その結果，いなか浜は侵食海岸の特徴を有しており，地形変化は風場の季節変動と連動している可能性が高いことがわかった．またウミの産卵活動観測には赤外線カメラによる観測が有効であることを示し，観測期間中に発生した水道形成の影響による産卵活動の変化について検討を行った。

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千葉県袖ケ浦市吉野田の下総層群清川層からイシ科に属する2種類の淡水生カメ類, ハナ属の化石種Ocadia sp.と小型のMauremys yabei が確認された. ハナ属はほぼ完全な骨格が発見され, またヤベイシは2個の保存良好な甲羅が知られている. いずれも日本固有の化石種と考えられ, 第四紀におけるイシ類の多様性の大きさを示唆している. 特にハナ属の発見は, 当時の古気候の推定に関して再考察をうながすものとして注目される.

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徳島沿岸でのアカウミ上陸頭数の減少要因について, 海岸地形, 周辺海域での漁獲量, 表面海水温の3つの観点から検討した. まず海岸地形変化の点では離岸堤が建設された阿南市蒲生田海岸の上陸頭数の減少割合が他の海岸に比べて大きいことが確認された. 次に徳島沿岸のウミ上陸頭数と魚種別漁獲量との関係を調べた結果, ウミの主要な餌の1つである貝類の漁獲量と高い正の相関関係が認められた. また太平洋沿岸での海水温との相関を調べた結果, 海水温の上昇に伴いウミ上陸頭数が減少していることがわかった.

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1985年,八重山群島(与那国島,鳩間島を除く)においてウミの産卵状況を調査した。この調査において174ヵ所のウミの産卵跡を確認し,内65ヵ所で孵化幼体から産卵種を決定することが出来た。内訳は,アカウミ59ヵ所,アオウミ5ヵ所,タイマイ1ヵ所で,八重山群島における主要産卵種はアカウミであると推定される。

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　刊行や改訂が進められている全国版及び地方版レッドデータブックによれば、水田の減少、農薬、水質汚染、街灯の増加などがタの衰退原因とされている。タの主食がカエル類であること（Hirai & Hidaka 2002）、及び全国の水田でカエル類の著しい減少が観察されていること、この2つの事実からカエル類の減少がタの衰退原因である可能性が極めて高いと考えられる。しかしながら、その可能性を指摘しているレッドデータブックは存在しない。タを絶滅させないための適切な対策を講じるには、真の原因究明が不可欠である。そこで私は、カエル類の減少がタに及ぼす影響について調査した。まず、タの主要餌種であるニホンアマガエル成体、シュレーゲルアオガエル成体、トノサマガエル幼体の密度をタが残っている地域とすでに絶滅した地域間で比較したところ、いずれもタが残っている地域で高密度であった。また、タが残っている地域間の比較でも、タのより多い地域でカエル類がより高密度であった。これらの結果は、タの密度がカエル類の密度に依存的であることを示しており、カエル類の減少がタ衰退の主な原因である可能性を強く示唆する。さらに、夜間照明がタに及ぼす影響についても調査した。夜間照明に飛来した個体の肥満度指数（体重g／体長³mm×10⁵ , X±SD＝1.68±0.17）は、水田に残っていた個体（2.28±0.03）のよりも有意に低かった。この結果は、タが機械的に夜間照明に引き寄せられているのではないことを示しており、満腹の個体は水田にとどまっているのに対して、空腹の個体が水田から移動分散していることを示唆している。つまり、街灯の増加はタ衰退の直接的原因ではないと考えられる。以上の結果から、タ存続にとって、主要餌種であるカエル類を高密度に保全管理することの重要性を指摘した。

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Reproductive activity of loggerhead sea turtles can be classified into 3 stages: landing, oviposition, and hatching. The purpose of this study is to investigate the influence of environmental factors such as beach elevation and sand temperature on the reproductive activity of loggerhead turtles nesting on the beach. It was found that the number of landings in the period 2005-2008 was smaller on the beach in front of detached breakwaters than the other areas of beach without breakwaters. The length of tracks with successful nests (oviposition) was significantly larger than the length of tracks with abandoned nesting attempts (oviposition failure). In the hatching stage, sand depth was found to affect incubation temperature.

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We developed and executed a management plan for the extermination of the invasive turtle Trachemys scripta elegans in a closed water body as a case study in the moats of Sasayama Castle, Tanbasasayama City, Hyogo Prefecture. We captured turtles using 150 traps baited with fish during 11 trapping intervals between July 2015 and September 2015, for a total of 1650 trap nights. We used the number of individuals caught per trap (Catch per Unit Effort, CPUE) as a measure of removal effectiveness and found that the CPUE of the baited traps decreased from 1.10 to 0.10 by the end of trapping in 2015. Since 2016, we used two types of traps, baited traps and basking traps, the latter designed to take advantage of basking behavior. The median CPUE of basking traps

was 1.15, whereas the median CPUE of baited traps was 0.15, indicating that the basking traps were more effective even when baited traps were present. We captured significantly more females than males with baited traps (Chi-squared test, p＜0.05), while basking traps used in conjunction with baited traps captured more juveniles (plastron length less than 50 mm) than the total number of individuals captured by basking traps. These findings suggest that for the effective removal of T. s. elegans, it is important to use a combination of different trapping methods.

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日本固有種ニホンイシ

の生息に影響を及ぼす環境要因を明らかにするために，兵庫県宍粟市のため池10箇所で2015年5月から11月に現地調査を行い，本種の個体数（/m²）を目的変数に，環境17項目を説明変数に，重回帰分析を行った．甲羅干し場（箇所/m²），ため池周囲の林地以外の接地割合が影響のある項目として抽出され，日当たりが良く，体温維持等に必要な甲羅干し場が複数存在する環境が必要であると推測された．また，雌の産卵期6月の移動範囲を明らかにするために，データロガー付GPS機器を用いて追跡したところ，移動範囲は最大12,640m²で，放流地点からの最大移動距離は210mであった．本種は様々な環境で出現し，特にため池周縁部と一部の水田で出現地点が集中した．本種の生息地の保全には，ため池だけでなく，その周辺の陸地も含めた対策が必要であることが確認された．

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絶滅危惧種タが残る兵庫県西部と大阪府北部と、すでにタが絶滅した京都府京都市と滋賀県大津市の４地域の水田で下記の諸調査を行った。まず、タの餌メニューを調べたところ、春はニホンアマガエル成体とシュレーゲルアオガエル成体、夏はトノサマガエル幼体が主食であることが判明した。タ同様にカエル食であるシマヘビとヤマカガシも、春はアマ成体とシュレーゲル成体、夏はトノサマ幼体を主食にしていた。上記４地域におけるカエル類各種の密度は、兵庫、大阪、京都、滋賀の順に高かった。ヘビ類の密度も、兵庫、大阪、京都、滋賀の順に高かった。タの密度は兵庫の方が大阪よりも高かった。以上の結果は、カエル食者の生息密度が餌密度に依存的であることを示している。次に、カエル類の密度とタの餌構成、及び生息密度との関係について調査した。その結果、タの夏の餌構成中では、トノサマ幼体の密度の低下とともにスジエビや落下昆虫などのカエル以外の餌種の比重が高まることや、さらにトノサマ幼体の密度の低下に伴って、水田におけるタの密度は低下する一方で、夜間照明に飛来するタの個体数は増加することが分かった。夜間照明に飛来したタの体重は、水田に留まっていた個体よりも有意に軽かったことから、水田におけるタの生息密度は餌密度によって制限されていると考えられた。以上の結果は、タがカエル類の密度に依存的であることを改めて示すものであり、タ存続にとってのカエル類保護の重要性を強く示唆する。最後に、水田生態系においてカエル類と同じ栄養段階に属するイモリ、カナヘビ、スジブトハシリグモの密度を比較した。その結果、いずれも兵庫、大阪、京都、滋賀の順で高かった。栄養段階が同じで、生息環境が異なるこれらの昆虫食者の密度の変異がカエル類のものと一致していたことは、カエル類の密度が節足動物の現存量によって規定されている可能性を示唆する。したがって、タ存続にとって不可欠なカエル類の保全には、カエル類にとって餌資源となりうる「害虫」・「益虫」・「ただの虫」を包括的に保護することが重要であると考えられた。

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