カシュー樹 (
Anacardium occidentals, L.) はウルシ科に属し, 樹高35~40呎, この植物の最も著しい特徴は普通Cashew-appleと呼ばれる偽果を生ずることで, これは果托部が膨大し, 洋梨状に近い型となり, 長さが2~4.5吋に達する.また真の果実はCashew nut (堅果) と呼ばれ, appleの尖端に着いており, 小さい拳闘のグローブ状, その内部に果皮に包まれたkeme1がある.ブラジルの原産で16世紀にポルトガル人により海岸の土壌侵蝕防止樹としてインドに導入され, それが東洋の熱帯地域に拡がり, アフリカにもポルトガル人により伝えられた.現在インドではCashew nutは年約8万t生産され, 生産・輸出ともに世界第1位である.最近nut, appleの処理の方法・機械の改良, 新用途の開拓により東部アフリカ, ブラジルにおける栽培を刺激し, その他の熱帯地域でも経済的に有利な作物として重要視されるようになつた.副産物の中でもnutの殻油 (shell oil) は最近近代工業に広汎な用途が開拓され, 需要は急増し, インドでは年1万5千tの生産があり, 英国, U.S.A., 日本に輸出されている.なお本文中には植物学的記載原産地, 分布, 栽培法, 品種, 病虫害, 栽培拡張の上の問題点, 収穫法, 処理法, Cashew kerne1・nut・shell oil・appleの用途などについて詳記してある.
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