歯周炎症に伴う多形核白血球 (PMNs) の動態を究明するため, マウスの腹腔内に2%カゼインを投与し, 惹起させた腹腔炎症局所に浸出してくるPMNsを経時的に採取し, そのスーパーオキシド (O
2-) 産生能, および細胞表面のC3 biレセプターの発現量を指標として検討した。腹腔浸出細胞数は, 炎症惹起後3時間から著しく増加し, 9時間で最高に達した。浸出細胞中のPMNsの割合は, 炎症惹起後3時間で約85%, 9時間では約95%を占めた。腹腔浸出PMNsの0
2一産生は
Porphyromoms (
Bacteroides)
gingivalis 381 (P. g) および
nucleatum (F. n) の菌体破砕上清あるいはホルボールミリステートアセテート (PMA) の刺激Fusobacterumにより誘起された。また, このO
2-産生量は, 炎症惹起後6時間および9時間では3時間と比較して有意に高値を示した (P<0.05-0.01) 。フローサイトメトリー (FAcs) を用いた分析から, 腹腔浸出細胞にはC3 biレセプターが弱く発現している細胞集団 (弱陽性細胞, 55~65%) と極めて強く発現している細胞集団 (強陽性細胞, 10~20%) が認められた。C3 biレセプターの発現量は強陽性細胞では大きな経時的な変化は認められず, また, PMA, FMLP,
E-
coli-LPSの刺激によっても影響されなかったが, 弱陽性細胞では炎症惹起後細胞の採取時間の差によって変化し, PMA, FMLP, LPSによって変動することが示された。以上のことから, 炎症時に誘導され, homogeneousな細胞集団を形成すると考えられていたPMNsには, 異なる細胞集団が混在し, heterogeneityの存在することが示された。
抄録全体を表示