〈緒言〉当院は秋田県北部の2次医療圏,地域の中核病院
である。平成20年2月にがん診療連携拠点病院の指定を受
けた。当院での緩和
ケア
への取り組みは平成18年9月にさ
かのぼる。過去に病院として緩和
ケア
に取り組むことはな
かった。
〈緩和
ケア
チーム立ち上げの経緯〉院内に緩和医療委員会
を発足させ,最初に行ったことは,病院職員に対する緩和
ケア
に関する意識調査であった。がん患者にかかわる多く
の職員が日常の診療や業務の中で,緩和
ケア
の知識は必要
と考えてはいるものの,自分自身の緩和
ケア
やがん性疼痛
の治療法(WHO 方式など)に関する知識は不十分と答え
ていた。また院内に,緩和
ケア
チームがあれば相談したい
という,期待する意見もみられた。当初の委員会活動は緩
和
ケア
の教育,啓発とし,同時に緩和
ケア
チーム設立の準
備をすすめた。
〈緩和
ケア
チームの活動〉平成19年6月に緩和
ケア
チーム
を結成,同年9月より活動を開始した。メンバーは医師,
看護師,薬剤師,MSW の構成であったが,全員兼任であ
る。皆,過去に緩和
ケア
の専門的な教育や研修を受けたこ
とはなく,自己学習と研修会や学会への積極的な参加と日
常業務の多忙な中での活動であった。当初から多くの問題
点や課題を抱えた状態であり,現在も同様である。地方病
院の医師不足,看護師不足は深刻であり,限られた条件の
中で,地域がん診療連携拠点病院の緩和
ケア
チームの果た
す役割は非常に大きく,スタッフの負担は増す一方であ
る。
〈今後の課題〉マンパワー不足や時間的な制限の中であっ
ても,緩和
ケア
の理念の理解,実践は必要である。院内,
院外を問わず,一般市民への緩和
ケア
の普及,啓発を進め
るとともに,緩和
ケア
を通じて地域の医療従事者との交
流,連携も進めなくてはならない。がん診療連携拠点病院
の理念として緩和
ケア
に取り組む意思表示,姿勢を示し,
その役割を果たすための現在の取り組み,活動について報
告する。
抄録全体を表示