【背景】温泉吸入療法と蒸気浴療法は欧州で幅広く行われているが,日本の温泉療法では肩までの全身入浴が一般的である.私たちはアレルギー性鼻炎に対して岩盤蒸気浴と露天風呂の全身入浴を組み合わせた温泉療法を考案した.
【方法】春季花粉飛散期の数日間に本温泉療法を行ったアレルギー性鼻炎19例に対して匿名のアンケート調査を行った.対象者は41℃の
サイボク
温泉(ナトリウム-塩化物泉)の露天風呂に10分間座位で肩まで入浴し,次に温泉蒸気の充満する部屋で,小石を敷き詰めた床の上に20分間仰臥位となり,その後再び露天風呂に10分間座位で肩まで入浴し,最後に休憩室の椅子に座って20分間過ごした.床にはトルマリン石と石灰岩を含む小石を敷き詰め,小さな穴のあいた金属管を埋め込み,その中を温泉水が循環している.温泉水から放出された蒸気は床を通って室内に充満する.岩盤蒸気浴室の温度は40℃で湿度は75%であった.
【成績】臨床症状は19人中17人で改善した.鼻水・鼻詰まり,眼のかゆみ,くしゃみ,咽頭痛は,本温泉療法前と比較して,それぞれ100%,75%,40%,100%の対象者で軽快した.副作用はみられなかった.
【考察】岩盤蒸気浴と露天風呂入浴を組み合わせた温泉療法はアレルギー性鼻炎の局所症状および全身症状を軽減するのに有用と思われる.
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