アクリロニトリルのオキソ反応により得られたβ-シアンプロピオンアルデヒドを原料として,グルタミン酸の合成を行なった。この際,
シアン化水素をシアン化水素
のアンモニア溶液として使用するのが有利であることを見出した。
従来,
シアン化水素
はアンモニアの存在下では不安定で重合し易いと考えられていたが,
シアン化水素
のアンモニア水溶液中での安定性を実験し,
シアン化水素
に対し0.5~1.0倍molのアンモニアが存在するとき,
シアン化水素
の重合による損失が最も著しく5 倍m o l 以上存在するときは安定であることを明らかにした。
シアン化水素の重合はシアン化水素
分子によって行なわれ,大量のアンモニアが存在するときは,大部分の
シアン化水素
はイオンに解離しており,安定化されているものと考えられる。
この事実に基づき,通常
シアン化水素
の工業的合成法として行なわれるAndrussow法により,
シアン化水素
を合成し,
シアン化水素
を含む反応生成ガスを,残存アンモニアとともに直接アンモニア水に吸収させ,
シアン化水素
のアンモニア水溶液を得た。この溶液はグルタミン酸のみならず,ストレッカー反応による各種のアミノ酸の合成に利用される。
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