本研究は馬蹄角質組成の生化学的分析により, 先ず正常蹄の化学組成を明らかにし, さらに蹄組成と蹄疾患との関連を解明するための基礎資料を得るために実施したものである。
蹄試料はサラブレッドの健康蹄の蹄壁, 蹄底, 蹄叉について, それぞれ蛋白質含量と脂質組成を分析した。その成績は次のとおりである。
1. 馬蹄角質の粗蛋白質算出用窒素係数は5.93であった。
2. 脂質含量は平均0.74%で少なかったが, その主体は非極性脂質のステロール化合物であった。
3. 極性脂質としてはセラミドジヘキソシドが同定された。
4. 構成脂肪酸は非極性脂質ではパルミチン酸, ステアリン酸, オレイン酸が, また, 極性脂質にはそのほかにリグノセリン酸が多く含まれていた。
以上のことから護蹄を考える上で, 脂質組成についても充分考慮する必要があろうと思われる。
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