本研究の目的は
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に対するコ-ティングの膜特性が被削材の溶着状態や切削トルクに及ぼす影響,およびコ-ティング膜の機械的性質と
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を用いての切削実験結果との関係を明らかにすることである.高速度鋼を母材としたノンコ-ティング,TiNコ-ティング,DLCコ-ティング,およびTiNの上にDLCを複合コ-ティングしたTiN/DLCコ-ティングの4種類の
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を用いてステンレス鋼SUS304の
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加工を行った.いずれのコ-ティング
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もノンコ-ティング
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に比べて,逃げ面の溶着面積は減少し切削トルクは低減する.ノンコ-ティング
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は,外周逃げ面だけでなく横逃げ面にも溶着が発生し,切りくずの付着がみられ切りくず排出の悪化が示唆される.コ-ティング
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では,逃げ面に発生する溶着状況がコ-ティングの種類によって異なる.TiNコ-ティング
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では,刃先稜線付近から逃げ面全体へ斑点状の溶着が発生している.一方,DLCおよびTiN/DLCコ-ティング
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では,逃げ面全体ではなく刃先稜線付近に溶着が発生している.TiN/DLCコ-ティング
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は,TiNコ-ティング
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およびDLCコ-ティングに比べて逃げ面の溶着面積が小さい.コ-ティング膜の摩擦試験から得られた摩擦係数およびスクラッチ試験から得られた剥離臨界荷重との比である摩擦係数/剥離臨界荷重が小さくなるに伴い,
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加工における逃げ面の溶着面積は減少し耐溶着性が向上する.
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