ケイ素架橋型ジフェニルアミンを主鎖にもつポリマーの合成を行い, この材料を用いた機能性材料への展開を試みた. まず, 窒素およびケイ素上にさまざまな置換基をもつモノシラン架橋型ジフェニルアミン (フェナザシリン) を主鎖にもつポリマーの合成と性質について検討した. 続いて, ジシランやシロキサンで架橋されたジフェニルアミン (ジベンゾジシラアゼピンおよびジベンゾジシラアゾシン) を主鎖にもつポリマーについても同様の検討を行った. フェナザシリン系ポリマーは, 電界発光素子のホール輸送材料やエレクトロクロミック素子の構成材料といった電子材料や, 樹脂に蛍光をもたせる添加剤としても有効であった. また, DNAとの複合化による機能発現も可能であった. その一方で, ポリジベンゾジシラアゼピンにより, カーボンナノチューブの蛍光顕微鏡観察が可能となった. また, 架橋ケイ素ユニットや, 窒素およびケイ素上の置換基の変化が物性に大きな影響を及ぼしたことから, 機能に合わせた材料開発の可能性を見いだすことができた.
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