1968年西日本地方に発生したライスオイル中毒事件-“いわゆる油症”の原因物質を化学分析, 該工場調査, 動物実験等により追究し, それが精油工程に使用されていた熱媒体, 塩化ジフェニルによるものであることを明らかにした.
塩化ジフェニルの毒性の発現は動物による差異が著しく, ヒトでは粘膜, 皮ふ症状が主で, 全身的な症状がみられるほかは, 内臓等に著変がみられないのに対し, マウス, ラットでは肝, 鶏では肝, 腎のほかに水腫が著しいという特徴がみられた. また, 塩化ジフェニルは代謝排泄されにくいので, 蓄積性があり, 亜急性的毒性をもつことを明らかにした.
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