チガヤ
(
Imperata cylindrica var.
koenigii) は, 防除が極めて困難な, 世界の熱帯から温帯に広く分布するイネ科の多年生雑草である。
チガヤ
が密生している草地の現存量の季節変化を調査し, あわせて
チガヤ
の主な繁殖器官である根茎の水平および垂直分布を調査した。
1980年6月14日から1981年5月18日に和歌山県西牟婁郡串本町紀伊大島にみられるほぼ全域を
チガヤ
に被われた放棄畑 (北緯33°28′, 東経135°50′, 標高約50m) において (Fig. 1) 調査を行った。50×50cm
2のコドラート3個を調査地に設け, ほぼ1か月ごとに出現種および被度を調査した後, 地上部を地上から10cmごとに層別に刈り取り, 器官別に乾物重を測定した。地上部を刈り取った後,
チガヤ
の根茎の水平および垂直分布を調査した。
調査地では
チガヤ
が密に分布していたが, 分布様式は一様でなかった (Fig. 2)。
チガヤ
の他にススキ, スイバ, ワラビなど31種の生育が確認された。
チガヤ
の被度は1年を通じて76%以上であったが, その他の種の被度は10%以下であり (Fig. 3), 個体数も少なかった。
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は速やかに生長し, 調査開始時には既に草丈が89.7cmに達し, 草冠を被っていた (Fig. 4)。
チガヤ
, ススキ, ヘクソカズラ, スイカズラおよびハスノバカズラ以外の種は下層に位置していた。2月には
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の地上部はほとんど枯死したが, 枯死葉は, 脱落せず, 枯死した状態で残存していた。調査地の地上部最大現存量は1月に883g/m
2を示し,
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はそのうちの87.4%を占めた。
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の主な繁殖器官である根茎は複雑に分枝していた (Fig. 6)。根茎は, 深さ10cmまでに全量の約80%が分布し, 深いものでは30cmに達していた (Fig. 4)。根茎の現存量は年間を通じ全器官の40~50%を占め, その最大値は地上部の現存量が最大となる時期から約1か月遅れた2月に653g/m
2を示した (Fig. 5)。
複雑に分枝した根茎が地中深くまで分布し, 多量の同化産物を蓄積していることが
チガヤ
の防除を困難にしている要因であると推定された。
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