広背筋皮弁は腹部皮弁に比べ侵襲が少なく, 体前面に瘢痕を作らないなどの利点があるが, 腹部に比べ皮下脂肪が少なく, これまで乳房部分切除後や比較的小さな乳房全摘後の再建にのみ用いられてきた。大きな乳房を再建しようと皮下脂肪を広く採取すると, 大きな脂肪弁の血行が不安定なだけでなく, 瘢痕周囲の陥凹変形が目立つことが多い。
これらの問題を解決し, インプラントや脂肪注入なしで自然で大きな乳房を再建するため, Twin Birds Transformer (TBT) 広背筋皮弁という新しい再建法を考案した。TBT広背筋皮弁は, 背部中央から側胸部まで細長いS字状皮弁を挙上し, それを分割, 再構成することで立体的な乳房を再建する。本法を48例で施行し, これまでより大きく, 立体的な乳房が再建でき, 背部瘢痕は長いが, 陥凹がなく, きれいで目立たなかった。
TBT広背筋皮弁は, 今後, 最も有力な自家組織再建材料の1つになりうると考える。
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