本稿では, 1504年に出版されたガウリコの『彫刻論』を対象とし, その第4章「透視図法」に記述されている作図法に関して先行研究を整理する.つぎに, ガウリコの透視図法がどのような方法であったのかについて可能性を示す.とくに, 第1の方法に関しては, H.E.ブロック
ハウス
, E.パノフスキーD.ジョセッフィ, K.H.ベルトマン, R.クライン, M.ケンプ, T.ガルシアーサルガドの復元案を明らかにした.16世紀前半の透視図法の展開過程においては, 距離点法の成立は, 重要な位置を占めている.D.ジョセッフィやR.クラインの復元案では距離点法が示されている.けれどもガウリコの文章のなかには, 「距離点」という言葉が記されていないことから, 第1の方法は簡略作図法か対角線法を継承した作図法であった可能性が高いと考えられる.
抄録全体を表示