本実験においては, ウンシュウミカンとナツダイダイの接木キメラと言われているコ
バヤシ
ミカンを材料として, 新•旧葉, 果実, 実生のアイソザイムパターンを観察し, ウンシュウミカンおよびナツダイダイのそれと比較した.
1. 7月の新旧葉, 果実各部位について得られたパーオキシダーゼアイソザイムパターンは, 新•旧葉とアルベドについてはコ
バヤシ
ミカンとナツダイダイとの間にはっきりとした類似性がみられた. しかし, 砂じょうについては, コ
バヤシ
ミカンとウンシュウミカンとの間に類似性がみられた. エステラーゼアイソザイムパターンについてみると, フラベドとアルベドに関してコ
バヤシ
ミカンはナツダイダイと全く同一のパターンを示した.
2. 10月の新旧葉, 果実各部位について得られたパーオキシダーゼアイソザイムパターンについてみると, コ
バヤシ
ミカンは旧葉とフラベドに関してナツダイダイときわめてよく似たパターンを, またアルベドと新葉に関してもかなりよく似たパターンを示した. エステラーゼアイソザイムパターンについてみると, 旧葉と種子に関してコ
バヤシ
ミカンとナツダイダイは全く同じパターンを示した. フラベド, アルベド, 新葉に関しても, コ
バヤシ
ミカンはナツダイダイに類似したパターンを示した.
3. 実生の葉および根のパーオキシダーゼおよびエステラーゼアイソザイムパターンについてみると, コ
バヤシ
ミカンはナツダイダイにきわめてよく似たパターンを示した.
以上の結果より, コパヤシミカンが生長点組織分化層の第I層が温州ミカン因子, 第II層がナツダイダイ因子よりなる周縁キメラであることについて確証が深められた.
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