バーナビー
島はバンクーバー市の北西,約700kmのクインシャロット群島に位置し,B.C.州に属する.周辺で空中磁気探査が実施された結果,ペリカン入江附近に磁気異常が認められ,異常直下の海岸から試錐探査が行なわれたところ,潜在磁鉄鉱体が発見された.その鉱体の水平的広がりと賦存状況を探査する目的で,プロトン磁力計による磁気探査とエコーサウンデイングによる連続水深調査を実施した.この報告は鉱床附近の地質概況,調査のまとめ,調査結果とモデル計算法,および結果に対する解釈と結論のそれぞれについて述べている.この事例は,類似した海底磁鉄鉱鉱床の探査に参考となろう.
地質概況は次のとおりである.一般地質層序はolder volcanic greenstone, amphibolite(Vancouver Group)を下盤とし,下より順次にlimestone, Kunga Formation (early upper triassic), calcareousおよびsiliceous argillizes (early lower Jurassic)が堆積している.標準層厚は約700mである.これらの地層にearly Cretaceous~early Tertiaryの貫入とみられる中粒hornblende dioriteが貫入して接触変成作用をおよぼしている.また,B.C.州西岸のバンクーバー島から本島周辺をとおって,アラスカに至る地域の各所に接触変成帯がある.これらのことから本鉱床は石灰岩およびgreen stoneとdioriteとの接触部に生成した接触交代鉱床と考えられる.
調査方法は次のとおりである.調査面積はEW 4km×NS 4kmの16km
2で,測線・点間隔はそれぞれ20~200m・約15mである.総測線長は約90 kmである.測定械器としてはバリアンM-49Aプロトン磁力計,ケルビンーヒューズMS26B音響測深器,そして位置測量用六分儀と三桿分度器をそれぞれ用いた.磁気測定はヘッドをボーンに入れ,船尾より距離50m,水深1mで曳行記録した.
調査結果は次のとおりである.Fig.2に海中磁気探査と水深測量結果をそれぞれ200γと50mごとのコンターで示した.本地区の基準全磁場は57,000γで,地磁気伏角は+70°,磁気方位は26°東偏である.Fig.3にM.H.B.社による空中磁探(高度170m)の結果を示す.Fig.4-1からFig.4-5にはFig.2に示したI-I'~V-V'の5断面についてポーラーチャートによって行なったモデル計算の結果を示してある.計算仮定はそれぞれ次のとおりである.磁気異常源は周囲に対しKの帯磁率をもって,紙面に直交した方向に無限長を有する単位角柱(断面形A=50m×50m)の積み重ねとする.計算値を海上磁探結果と空中磁探結果にできるだけ接近させ,そのモデル断面形の平均形で解とする.この場合,単位角柱の大きさ,深度は適当に変化させる.数値計算はポーラーチャートによる.K×A=Cの関係があって,もしKが大となれば(磁鉄位品位が上れば),Aは小となる.本地区の基準として,I-I'断面のA地点附近のモデル計算による磁気異常が実測値に接近するような,単位断面形AとKを採用し,全般に適用した.この結果,K=0.04が適当と定められた,全磁場の強度と伏角については,前述の値を用いた.磁気異常については次のように指摘することができる(Fig.2参照).
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