混雑料金政策は社会厚生最大化の観点から望ましい政策である. しかし, 混雑料金を賦課すると支払能力の低い利用者が先行的に排除されるという利用者間の不公平性が生じる. そこで本研究では, 時間価値の異なる2主体の利用者の存在下で, 通行無料を前提とした費用便益分析に基づく道路投資政策に対して混雑料金賦課を前提とした同政策の
パレート改
善性を分析する.結果として, 2主体の時間価値比, 交通の逆需要関数の大きさの比, 人口配分の3要素の組み合わせによって
パレート改善
があることおよびその条件を示す. また, 混雑料金賦課を前提とした道路投資政策は, むしろ支払い能力の低い利用者の効用を増加させる可能性が高いことを示す.
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