(目的) 膀胱全摘除術後に Hautmann 法による neobladder が造設された患者に対し, 合併症および排尿, 尿失禁, 性生活について評価をおこなった.
(対象と方法) 1993年1月より1999年12月までに岐阜大学およびその関連施設で, 膀胱全摘除術後に Hautmann 法による neobladder が造設された118例 (男性105例, 女性13例) について検討した. 排尿, 尿失禁, 性生活に関した調査表を作成し郵送で行った.
(結果) 観察期間は平均50.4ヵ月 (6.8~88.2ヵ月) であった. 早期の術後合併症では, 17.8%に創部感染を, また10.1%にイレウスがみられた. 晩期合併症ではイレウス, 腎盂腎炎, パウチ結石, パウチ尿道吻合部狭窄をそれぞれ3.4%にみられた. 質問表に対して調査時点で生存していた90例のうち81例 (男性73例, 女性8例) 72.9%で回答が得られた. 自排尿は95.1%で可能であったが, 4.9%では間欠的自己導尿が必要であった. I-PSSスコアは平均11.6点であった. 排尿途絶については, 38%が全くないと答えたが, 25.0%がほとんどいつもあると答えていた. 尿線の勢いの弱さを36%では全く感じないと答えたが, 25.7%ではほとんどいつも感じると答えた. 昼間の尿の禁制は97.3%で保たれていたが, 夜間には61.3%に尿失禁がみられた. 回答が得られた73例の男性症例での性生活に関する質問では, 術前79.7%が性生活を行っていたと答えた. 術後には神経温存手術が行われた男性症例のうち63.6%で性生活が行われていたが, 神経温存が行われなかった症例では14.8%のみに性生活が行われていた.
(結論) Hautmann 法による neobladder は多くの症例で機能的に問題なく, 合併症も許容できる範囲であった. しかし排尿困難の訴えには症例によりばらつきがみられた. さらに夜間の尿失禁, 性生活についても問題がみられた.
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