日本作物学会紀事
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インディカF1雑種水稲の幼苗生長における雑種強勢の生理的機構について
秋田 重誠ブランコ リブラダ片山 勝之
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1990 年 59 巻 3 号 p. 548-556

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抄録

F1雑種水稲の高い初期生長の原因を明らかにするために, 16系統のインディカF1雑種水稲とその両親の胚重, 胚乳重と葉面積が幼苗生長に及ぼす影響について検討を行った。16系統のF1雑種水稲の胚重は両親の中間値よりも大きかった。この内, 11系統のF1雑種水稲の胚重は優れた親の胚重よりも雑種強勢を示した。雑種第2代目の水稲 (F2水稲) の胚重にみられるヘテロシスはF1雑種水稲よりも小さかった。胚乳重については, 必ずしも雑種強勢がみられなかった。発芽後16日間, 水耕栽培したF1雑種水稲の生長量 (幼苗重) は雑種強勢をしめしたが, 4日毎の相対生長率にはほとんど雑種強勢がみられなかった。これらのことから, インディカを両親とするF1雑種水稲の幼苗生長にみられる雑種強勢は, 主として大きい胚重及び高い葉面生長によると推察された。

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