アカタテハ幼虫を
ムラサキツメクサ
で室内飼育し,その生育状況を調べた.野外で捕獲したアカタテハ(メス)から卵を得て,孵化した幼虫をマオで飼育し,1〜5齢に達した幼虫を順次
ムラサキツメクサ
食に移行させて,その生育状況をマオ食幼虫(対照群)と比較し観察した.対照群幼虫は,1〜5齢のどの段階から
ムラサキツメクサ
食に移行させても蛹・成虫にまで生育できたが,生存率は低く,
ムラサキツメクサ
食の期間が長いほど幼虫期間が長く,蛹化率も蛹の羽化率も低かった.蛹重と蛹長を比較すると,
ムラサキツメクサ
食群は対照群に比べ小型で,成虫の前翅長も短かったが,成虫の翅の形態や翅紋に異常は認められなかった.以上の結果から,
ムラサキツメクサ
は,飼育環境下においては,アカタテハ幼虫の代用食になり得るが,好適な食草ではないことが示唆された.
抄録全体を表示