メガマウスザメ
Megachasma pelagiousは1976年にハワイ沖で初めて捕獲され,Taylor
et al. により1983年に新科・新属・新種として報告された.この個体は全長466cmの雄であり,このような大型脊椎動物が近年になって発見されたことが大きな話題となった.それではなぜ,それまでに
メガマウス
ザメは発見されなかったのであろうか? 生物の発見は人間活動との関係が大きいほど,かつ豊度が高いほど速やかになされる.沿岸魚類の多くは古くから食料資源として利用され耳目に触れてきたが,外洋や深海に生息する魚類の発見はその生態的特徴により遅れてきた.プランクトン食性である
メガマウス
ザメは他の魚食性のサメ類と異なり,外洋におけるマグロ類を対象とした釣漁業では漁獲されなかったが,近年沿岸域での定置網漁業や刺網漁業で捕獲されている.日本ではこれらの漁業は明治時代にすでに行われており,本種が捕獲されれば奇妙な外形から報告されていたはずである.そこで近年,本種の豊度が高まり,発見確率が上昇したという仮説を立て,
メガマウス
ザメの増加要因として捕食者との関係を考察した.
抄録全体を表示