塩酸ア
モスラ
ロールはα・β受容体遮断薬で高血圧に適応を有する医薬品である。塩酸ア
モスラ
ロールは他のβ受容体遮断薬と同様1個の不斉炭素があり,OH基があるためラセミ体(R(-)体・S(+)体それぞれ50%ずつの混合物)である。その異性体であるR(-)体・S(+)体の薬理作用に着目した。薬理実験をすると塩酸ア
モスラ
ロールのR(-)体はほとんどβ受容体遮断作用だけであり,反対にS(+)体はほとんどα受容体遮断作用だけであった。そこでOH基を除いた化合物を合成して薬理実験をするとそれはほとんどα受容体遮断薬であることが判明した。しかも選択的なα_1受容体遮断薬であった。構造活性相関をはじめて塩酸プラゾシン(有名なα_1受容体遮断薬)と同程度の薬理活性のある化合物はいくつも合成に成功した。世界一α_1受容体遮断活性の強い化合物を目指してさらに合成・薬理実験を重ね最終的に塩酸タムスロシンに到達した。その経緯をご紹介したい。
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