1. 小麦でんぷんを0.726N塩酸を用いて100°Cで加水分解し,経時的に生成するリン化合物を分析し,でんぷん中にグリセ
リン
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リン
酸の誘導体(グリセロリン脂質と見なされる)として存在するリン(Pg)の定量条件を検討した.その結果, 90分間加水分解し,遊離するグリセ
リン
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リン
酸をアルカリホスファターゼで分解し,生成するグリセリンを測定し,酸分解によって分解する量を補正することによって, Pgの量を定量することが可能であると結論した.
2.上記の方法を実験室調製の小麦,市販の小麦,市販のトウモロコシ,市販の米,実験室調製の米などに適用し, Pgの量を測定した結果,それぞれ全リン含量の99.9%, 90.8%, 69.8%, 74.9%, 62.7%であった.ジャガイモ,サツマイモ,クズ,モチ米,モチトウモロコシのでんぷんでは, Pgは検出されなかった.
3.小麦でんぷんや他の穀類でんぷん中に, 0.726N塩酸, 100°Cで60分以内の処理で加水分解される酸に,不安定な未知のリンの存在が示唆された.
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