1.代表的な青ウメ4品種, '古城''白加賀''南高''白王小梅'果実について, 25°Cで7日間のCA貯蔵を行った. 青ウメは品種間で呼吸型などに大きな相違はなかった. 酸素濃度3%以上の処理区では, 酸素の取り込み速度と二酸化炭素の発生速度は, クライマクテリック•ライズを形成し, 両方のマキシマム到達時間は, ほぼ一致した. マキシマム到達時間は, これらのCA処理区では空気通気区より半日程度遅れたが, 貯蔵開始後3日以内であった. 酸素取り込み速度と二酸化炭素の発生速度は, 酸素濃度の低下により大きく抑制され, 同一酸素濃度では二酸化炭素濃度の増加により抑制された. 呼吸速度の抑制は, 酸素濃度5%以下で顕著になった. 酸素濃度が2%より低くなると, 酸素取り込み速度に比較して, 二酸化炭素発生速度が顕著に大きくなり, エチルアルコールの発生速度が増大した.従って, 青ウメ果実の嫌気呼吸は, 酸素濃度が2%を下回ると急増すると分かった.
2.アセトアルデヒドとエチルアルコールの発生速度は, 全処理区で貯蔵4日以降に大きくなった. エチルアルコールの発生速度の高い区では, 褐変障害果の発生率が高く, 低酸素濃度で二酸化炭素を除去した区では, 水浸状障害果の発生率が高くなった.
3.エチレンの発生速度は5%以下の低酸素濃度条件で顕著に抑制され, 同一酸素濃度では二酸化炭素濃度の増加によって抑制された. 酸素濃度3%以上では, エチレン発生速度は極大値 (ピーク) を形成し, ピークの形成はCA処理により1日程度の遅れがみられた. また, エチレンの発生速度がピークに達する時間は, 呼吸のクライマクテリック•マキシマムより半日から1日程度遅れた. しかし, 全処理区で, 貯蔵7日間の酸素取り込み量とエチレン発生量とには, 高い相関関係がみられた.
4.これらのことより, 常温流通過程での青ウメの鮮度保持には, エチルアルコールの発生速度が低い, 酸素濃度3~4%, 二酸化炭素濃度10%前後のCA処理, あるいはこれに対応するMA包装仕様の適用が示唆された. これらのCA処理によっても呼吸のクライマクテリック•ライズの遅れは少なく, 貯蔵4日以降にはエチルアルコールの発生速度も増大することから, 常温下でのCAならびにMA包装での鮮度保持期間は, 3日間が限度と推定された.
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