当手術部では高圧蒸気滅菌装置,電気式高圧蒸気滅菌装置,EOG滅菌器,そして低温プラズマ滅菌装置の各1台を使用して,主に緊急滅菌を要する医材に対して滅菌対応している.そのため滅菌管理は材料部と違い,バイオロジカルインジケータの培養などに時間が割くことが困難となり,記録の保存管理も完全なものではなかった.AAMI(米国医科器械振興会)は「記録管理に関する推奨業務」の中に,威菌処理済みの医材の
ロット管理
を行うことにより,保管の際に他のロード番号の処理済み医材と混ざる恐れが無くなり,リコールを行う場合に効率的に回収できると記している.今回,われわれはラベルシステム(Comply Label System【○!R】,3M社)を用いて滅菌管理する方法を検討し試みた.方法は今まで印字による滅菌有効期限と識別シールによる滅菌施行月しか分からなかった滅菌物に対し,本ラベルシステムでは滅菌器番号とロード番号,滅菌施行者,滅菌施行年月日と滅菌有効期限などを自動的に印字することができる.また,ラベルシステムのシールを記録用紙に貼付することで,既滅菌物と滅菌装置の運転チャートによる器械コントロール,そしてインジケータによる滅菌行程のロードコントロールの結果との間に整合性を保たせることができる.今回,本ラベルシステムにて既滅菌物の
ロット管理
を行うことで,滅菌保証をより安全に行えると考えられたので報告する.
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