山口県の内海東部水域の人工的に造成されたホンダワラ藻場周辺で, マナマコの個体群動態を研究し, 次のような結論を得た。
1) マナマコの幼生は潮間帯に着底し, その後2年間を潮間帯ですごす。着底が6月に起きるとすると, その後の成長は次式で表せる。
Lt=36.7 (1-exp (-0.332 (0.0321t+0.143+0.0978sin (0.524t-4.26) ) ) )
ただし, Ltは着底後tカ月目のマナマコの全長 (cm) である。水温の低い1月~5月にかけて急速に成長する。
2) 着底後2年を経た9月~翌年1月の間に, マナマコは潮間帯から潮下帯にある藻礁域に移動する。
3) 9月~11月にかけては, 転石下や岩礁の間隙, 建材ブロックの穴の中などの奥まった所で夏眠する。
4) 資源培養的見地からは, 潮間帯に隣接して設置された藻礁はマナマコが離散するのを防ぎ, 地先に滞留させる効果があることが判明した。
5) マナマコの増殖をはかるためには, 潮間帯, その下部にある隣接する礁, および潮下帯の夏眠場所の3点を同時に整備する必要があると考えられた。
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