根治を目指し,内視鏡治療を行った早期胃癌103例,110病巣を,
三脚
型把持鉗子を用いる以前の前期(1981年~1990年)と,同鉗子を用いた後期(1991年~1993年)に分けて,完全切除率,および治療後経過を比較検討し,以下の結論を得た.1)把持鉗子に
三脚
型を用い,切除手技を一定化することで,後期の完全切除率は77.4%と向上した.2)
三脚
型鉗子は作用点が3点であるため,把持が容易であると同時に病変挫滅が少なく,有用であった.3)さらに,改良型
三脚
型鉗子は,近接した状態で正確に病変把持が可能であり,有用であった.4)胃体部後壁の病変,11mm以上のIIa型では完全切除率が低く,内視鏡機器のさらなる改良が望まれた.5)術後経過をみると,完全切除例に遺残・再発はなかった.不完全切除例でも十分な追加治療を施行することで遺残・再発率は5.3%と低く抑えられた.
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