これまで, 大坂城内の地質情報を基に直接的に大坂城石垣築造に関する工学的考察を試みた事例はほとんどない。本研究は, 「大坂城地盤図」の作成を目的として, 既存ボーリング資料を収集整理し, 大坂城とその周辺の地形発達, 地層区分, 地下水位等について考察した。さらに, 豊臣, 徳川時代の各々の石垣築造技術 “縄張り”, “普請” と基礎, 地盤との関係を地質学, 地盤工学および土木施工学的視点から総合的に評価し, 以下の内容について検討したものである。
1. 大坂城内における既存地質資料の収集整理と地質学的, 地盤工学的情報の抽出。
2. 大坂城の代表的な地質断面図の作成, 大坂城とその周辺地盤を橋成する
上町台地
の地形発達史, 地層区分等についての考察。
3. 地質情報に基づく石垣基礎と支持層に関する土木施工学的考察。
4. 大坂城内の地下水位面と内堀, 外堀, 周辺河川の水面高さ等に関する考察。
5. 豊臣, 徳川時代の石垣築造技術 “縄張り”, “普請” と基礎地盤の総合的評価。
抄録全体を表示