著者らはメタンの
不完全燃焼
によるアセチレン製造を目的として,石英管製の反応管を使用した予備実験より,アセチレン25kg/dayの中間試験および1t/dayの工業化試験を実施した。この間に得られた結果によりアセチレン収率を高くするための条件が実験的にほぼ明らかにされ,またメタンの
不完全燃焼
反応は原料酸素が等モルに近いメタンと反応する部分酸化反応と,未反応メタンの熱分解によるアセチレン生成反応の二つに大別することができ,前者の反応は著しく速く進行し,後者の反応は前者に比較して遅いことが結論された。なおこれらについてはすでに報告ずみである。本報ではメタンの
不完全燃焼
反応を工業的に最も利用し易い形で速度論的に解析するため,反応全体をつぎのように仮定して検討した。すなわちメタンと酸素による部分酸化反応は極めて速く進み,メタン熱分解反応と一応切り離し得るので,これを速度論的に考察することを止め,主として熱収支について検討した。つぎに熱分解反応については諸反応の機構を考察し,反応速度的立場より種々の検討を行なった。
これらの検討により反応時間,反応温度とアセチレン収率の関係が明らかにされ,実験結果に対する理論的な裏づけを求めることができた。またメタン
不完全燃焼
を恒温下で行なわせた場合と非恒温の場合も比較し,最後に管流型反応器としての処理を試みた。
これらの結果はいずれもメタンの
不完全燃焼
反応を工業的に実施する場合,有用な指針となるものである。
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