熱傷
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症例
こたつ火災によるバックドラフトで受傷した熱傷の1例
古木 遥竹内 一博小林 昇平川瀬 麻依子鳥居 祐希井川 祐一小室 明人
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2023 年 49 巻 3 号 p. 150-154

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抄録

 バックドラフト現象とは, 気密性の高い空間で不完全燃焼によって可燃性のガスが充満した状態で空間が開放されると, 急激に新鮮な空気が入り込み, 可燃性ガスが爆燃する現象である. 今回, こたつ火災でのバックドラフトで受傷したと考えられたまれな熱傷例を経験したため報告する. 症例は89歳, 女性. 自宅でこたつから煙が出ていることに気付きこたつ布団を捲った際, 炎が噴出し, 顔面, 両手に爆風にあおられたような熱傷を受傷した. 消防隊は現場検証で非常に激しい火災であったことを確認し, バックドラフト現象と結論付けた. 幸い自験例では保存的加療にて受傷後3週間で上皮化したが, バックドラフトでは爆発的な火炎により熱傷が重篤化しやすく非常に危険である. バックドラフトの前兆として, こたつ布団からの濃い煙の噴出や天板が高温になることが考えられる. こたつ火災でもバックドラフトが生じることを認識し, 前兆に留意すべきことを啓発する必要がある.

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© 2023 一般社団法人 日本熱傷学会
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