1973年9月下旬から1974年4月中旬までの約7ヶ月間,
不忍池
で鴨類の飛来状況について調査観察を行なった.
1.午前7時30分から8時30分の間に行なった羽数調査では,1973年12月上旬から1974年2月中旬までの約2ヶ月間は2,500-3,000羽数えられ,羽数の変動も少なかった.この時期を定着期と考え,これより以前を増加期, 以後を減少期として区分した.
2.飛来した鴨類の種類はアカハジロ,トモエガモそしてマガモとカルガモの交雑種を含め13種であった.しかしオナガガモとホシバジCtが各々全体の約8割と1割を占めていた.
3.性比はキンクロハジロとスズガモで雌の方が多かった以外は,カルガモ及びマガモとカルガモの交雑種を除きすべての種類で雄の方が多ぐ数えられた.
4.
不忍池
は園内部,ボート池及び蓮池の3部分に仕切られているが,各々異なる特長を備えていて,飛来した鴨類は各時期によって使い分けをしていたことが認められた.
5.飛来した鴨類の羽数は1日の内で各時間によって変化していた.この羽数の増加及び減少の変化は各時期によって異なる型を示していたように考えられるが,いずれの場合も園内部での給餌に大きく影響されており,また全体としては朝から夕方にかけて羽数は増加していた.
6.ほとんどの種類の鴨類は各々池内で大体同じ位置を占有していた.しかし氷結した日は異なる型の占有分けを示した.
以上の調査観察結果について,
不忍池
の立地条件等から推測されるいくつかの要因について検討を加えた.
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