(1) 東京周辺地域における人口増加は顕著であり, これに伴い東京周辺地域から東京への人口流動は激化の傾向にあり, 約139万人 (1965年) の通勤, 通学人口が東京へ流入している。
(2) 1965年の東京への通勤, 通学人口10,000人以上の地域は, 通勤, 通学率500‰以上の地域とほぼ一致しその最前線は都心から45
kmにおよんでいる。 そのため日常生活上の東京の勢力圏, いいかえれば人口流動から判断された東京大都市圏は都心から45
km圏である。
(3) 人口流動から判断された東京大都市圏は, 1960年のそれと比較してみると過去5年間における面的拡大は少なく, むしろ45
km圏内における地域がより東京と強い関係を有するようになったと解される。
(4) 東京への人口流動圏の広がりは, 東武日光線以東では触手状化しているのに対し, それ以西では高い交通密度を反映し, より面的となっている。
これは東京大都市圏の発展方向の遅速を示している。
(5) 東京の人口流出圏は, 例えば東京からの流入人口500人以上を受け入れている市町村の分布は都心から50
kmにおよんでいる。
これは, 東京への流出人口10,000人以上の地域とほぼ一致している。
また, この流出圏は流入圏同様に東京西部地域に触手状化している。
(6) 東京大都市圏にあって, 地方都市圏的勢力圏 (人口吸引地域) が川崎, 横浜の他に4つのブロックが認められる。
これらのブロックはそれぞれの周辺市町村からの流入人口を受け入れている。
しかし, 各ブロックの周辺都市はそのブロックの中心都市へよりも多くの通勤, 通学人口を東京へ流出している。
ブロックの中心都市へは二次的に結び付いているといえる。
これを模式化すると (図-6) になる。 (但し線の太さは絶対数を示していない)
(7) ブロック相互間の人口流動はまだ顕著にあらわれず, 今後の工場, 学園等の拡散に伴いブロックの発展が行なわれると, ブロック相互間にも新たな人口流動の形態が生み出される。
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